日本生態学会 企画集会

日本生態学会で小集会を行ないます。生物の人口学的特徴はどのように決まり、どのように予測できるのか?という問題に関する集会です。形質進化、あるいはそれを支えるゲノム構造の進化から、生態的・人口学的特徴を説明することの可能性を議論します。

以下、企画内容の詳細です。

人口学的特徴の進化学:小進化とマクロな生命動態を繋ぐ様々な作用機序

人口学的特徴、すなわち、種の繁栄度(豊富さや持続性、分布の広さ)や個体群の動態(増殖率や安定性、環境収容力)には、系統(種あるいは個体群)間で差異があることは疑いようのない事実である。しかし、そのパターンを説明できるような一般則はない。とはいえ、このような差異は、系統内で生じる確率的浮動や自然選択など小進化の結果として生じたと考えるのが自然である。ただし、個体や遺伝子には各系統の存続性を高めることにダーウィニズム的な意味での関心がないので、各系統の人口学的特徴は小進化の「副産物」として系統にとっての利害とは関係なく成立すると捉えることができる。本集会では、生物の適応進化や確率的進化が、様々な時間スケールで直接あるいは進化可能性の変化を通じて間接的に系統の人口学的特徴や群集構造に影響することを検証した研究を紹介する。実験室実験系やフィールドワーク、種間比較、ゲノム比較を用いたこれらの研究を通じ、生態的・進化的インパクトの大きな形質の進化に着目し、人口学的特徴の系統間変異を解釈することの可能性や重要性を検討する。さらに、系統選択や系統ソーティングを介した系統進化パターンとの繋がりも議論したい。

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